きっかけは医学部6年生の春に人生初の一人旅でタイに行ったときのこと。行く前は不安だったけれど想像以上に楽しめたし、また人生を自由に謳歌しているたくさんの旅人に出会った。卒業後の進路を考えるうち、決められたレールの上を歩いているような感覚を怖いと思い、研修医を修了したら世界一周の旅に出よう、と決意。そして旅の間じゅう記録していたブログが、この本の素となった。
「もともと文章を書くのが好きで、20歳頃から、漠然と“いつか出版したいな”と思っていたんです。でも、何を?と聞かれると決まっていなくて(笑)。帰国後、旅のことだけでまず本の企画書を作りました。最初はこの旅に医療は絡めたくないと思っていたので、旅にテーマを絞ったのですが、どうしても医療のことが気になってしまう自分もいて。その後、どこで何が起きても対応できるスキルを最短で身につけたいと救急の道に進んで1年半が経ち、それなりに技術もついてきたところで、医療エピソードを軸にこの本の企画書を作り直したらすぐに、本にしたい、と言われました」