「年齢に抗うんじゃなくて、受け入れる。だって、歳をとることはちっとも恥ずかしいことじゃない。シワも勲章、と思っています」
本書では、35年間途絶えることなく発表し続けているコレクションの制作現場にも密着している。
「次はもっと、その次はもっと素敵になるかもしれない、と思っているうちに35年も過ぎていたの。毎日暮らしていると、昨日と今日は必ず違う。食べるものや草花、旅。そういうものを含めた、日々感じる空気や風みたいなもの全部がインスピレーションの源ね」
先日発表した2017年春夏のコレクションは、「浦島太郎っぽい感じ」だという。
「私も歳をとったなぁ、時代錯誤の浦島太郎にならないようにしなきゃ、なんて考えていて、あぁ浦島太郎、悪くないかもってふと思ったの。スタジャンっぽいジャケットに浦島太郎や魚のモチーフの刺繍をしたり、波の柄のスーツを作ったり。ぜひ楽しみに」
デザイナーとしてだけでなく、妻として、母としての半生を振り返った章では、大好きだった亡き父への想いも明かしている。