『すごいお母さん、EUの大統領に会う』尾崎美恵さん|本を読んで、会いたくなって。 | 読む・聴く・観る・買う | クロワッサン オンライン
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『すごいお母さん、EUの大統領に会う』尾崎美恵さん|本を読んで、会いたくなって。

なんにも持ってないことが武器なんです。

おざき・みえ●1954年、愛媛県生まれ。四国と欧州を繋ぐNPO「四国夢中人」代表(といってもほぼ一人)。長女が自身のブログに尾崎さんの活動を綴ったところ、「ほぼ日刊イトイ新聞」からインタビューを受け、話題に。本の帯には「勇気より平気がすごい」と糸井重里さんの推薦文が。

撮影・森山祐子

「パリとブリュッセルで四国遍路の講演を企画して帰国したばかり。来年はもっと大きなことをやるつもりです」

 満面の笑みを浮かべつつ、エネルギッシュに展望を語る、NPO法人「四国夢中人」代表の尾崎美恵さん。香川県在住の主婦である尾崎さんが、四国のすばらしさを欧州に伝えたいという情熱ひとつで、ついにはEUの大統領に会いに行く顛末が語られる本書。権力も財力も無い尾崎さんが多くの人を巻き込みながらパリのジャパンエキスポでさぬきうどんを紹介したり、フランス人ブロガーを招待し、四国遍路、俳句ツアーを開催したりというエピソードは痛快だ。

「お金も地位もない私でも活用できるのが人脈。人とのつながりです。それさえあれば何とかなる。みなさん、偉い人に会うのに躊躇すると思いますが、私はそういう人がいるんだったらお会いしなきゃいけないでしょ、と」

 小さな頃から外国への憧れがあった。未知の世界に興味津々だった。けれどもまだ女性は結婚したら家庭を守るという価値観の時代。尾崎さんは大学を卒業後、見合いし、結婚。そして子育ての落ち着いた43歳でフランス語を大学院で学んだ。で、そこからはもう一直線。フランス語講師として勤務し、7年務めるうちに四国の魅力を伝える事業に目覚めてしまった。

 交渉相手は、地元を飛び出して、外務省、フランス大使館へ。

「普通、警戒しますよね。でも私にはなんにもないから警戒する必要もない。企画に興味さえ持ってくれれば、会ってくれる。無欲で、何も持たないことが武器になる」
 今は、人口減少で10年後には半数が無人になるであろう瀬戸内海の島をアピールしたいと考えている。

「フランス人の石のアーティストを塩飽諸島の広島に招聘してプロモーションビデオを作りました。何もないけど心ゆたかに過ごせるのが瀬戸内海の魅力。次はぜひ映画監督や小説家にも来てもらい滞在してほしい。外国人の力を借りて過疎の島を活性化したいのです。まずは、このビデオを持ってフランス大使館に乗り込みたい……と妄想が広がっています。フランス人は、この人おもしろいなと思ったら話を聞いてくれますが、日本の役所はいくらパッションを伝えても手続きをふまないとダメ。でもそろそろですよ。フランス政府を動かせたら、安倍さん(総理大臣)も動くしかない」

 どこか坂本龍馬を彷彿とさせる尾崎さんなのだった。

文藝春秋 1,250円
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