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『ノンママという生き方 ~子のない女はダメですか?~』香山リカさん|本を読んで、会いたくなって。

出産しない人生を歩む女性にもエールを。

かやま・りか●1960年、北海道生まれ。精神科医。東海テレビ・フジテレビ系で毎週土曜夜に放映中のドラマ『ノンママ白書』との連動書籍。同世代でノンママのプロデューサーと意気投合、それぞれの分野でこの現実を表現しようと企画された。

撮影・渡邊まり子

厚生労働省の最近の調査から香山リカさんが推測するところによると、生涯子どもを産まない女性は251に及ぶ可能性も。総合職、専門職の女性ではよりその割合が高い。

「子どものいない女性にもいろいろあります。欲しいと思っていたけれど、経済的な事情や不妊の問題などで妊娠する機会に恵まれなかったケース。一方、積極的に子どものいない人生を選んだり、仕事などに忙しくそのうちにと思っている間に妊娠可能な年齢を過ぎてしまったような場合も。“ノンママ”とは、母になるビジョンを明確に持たなかった後者のタイプのこととして名づけました」

そういう香山さん自身、ノンママのひとり。医師国家試験に合格して研修医になった1986年春は、まさに男女雇用機会均等法の施行の年。その第一世代の女性は現在50代前半。ようやく男性と同等に仕事をできる権利を得たばかりの頃に社会へ踏み出した世代は、現時点で出産経験がないなら一生子どもを産むことはないだろうと認識する年齢を迎えている。本書では、そんなノンママたちの置かれてきた社会的背景、これまで語られることのなかった職場や地域でのさまざまなプレッシャー、ハラスメントについて、あらゆるケースをもとに分析し、ノンママがどれだけ傷ついているのかを明らかにしている。

「たとえば’80年代、世の中の流れは、子どもを持たずに働く女性が輝いているとされていました。とはいえ、現実はまだまだ男性社会。まじめで努力家の女性ほど、出産よりキャリアを積むべく頑張ってきた。なのにここにきて突然『あなたのような人が増えると少子化が進む』などと言われて肩身の狭い思いをしているんです。子どものいない人生で納得している女性も、本当は産んだほうがよかったのでは、と惑わされている部分もあると思います」

子育てしながら働く女性に配慮すべきという意識が高まる昨今、その分の仕事を請け負うノンママたち。こちらも大変とは言いづらい、不満を言えばひがみと思われそうと、本音を飲み込みつつ……。

「そういうモヤモヤを感じても当然。大変なんだから大変と言っていい。人生を否定されたように落ち込む必要はないんです。そんなノンママたちが自分を受け入れる助けになったらうれしいです」

勝ち組などという考え方もナンセンス。子どものあるなし、仕事の有無、独身か否かにかかわらず、すべての女性がお互いを尊重し、自分らしく生きていける懐の深い社会になることを願いたい。

幻冬舎 1,300円
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