「これから再開発が進むと土地の特徴が薄れると思いますが、今はまだ知らない町を迷い歩くと、不思議なところに路地があったり、坂道があったりして〝これは川かな?〟と思いますね。調べてみると戦前まで川だったりする。私もそうなんですが、住んでいる町の昔のことって案外知らないので、散歩すると発見があります」
といっても、むやみに歩き回って地形の謎を解くのは難しいかもしれない。練習のために、この本を持ってコースを巡り、その経験を踏まえて自宅の近所を散歩すると楽しいのではないだろうか。
「私は映像の仕事で昔の事件現場を訪ねて記録を調べたり、地元のお年寄りの話を聞いたりするうちに散歩が趣味になりました。渋谷の道玄坂も昔は相当、急な坂だったらしいですよ。麻布の暗闇坂の上の一本松、あれも明治になってから何回も植え替えてるんですけど、何回植え替えたかわからないらしいです。新しいことなのに、確かな記録がない」
むしろ江戸時代の様子のほうがよくわかるのが、東京という街の面白いところかも。