「自由に生きられるかもしれない、そんな思いで俳優や脚本家を目指す人が多いけれど、仕事が来なくなったらおしまいです。最近は、ドラマや時代劇を見る人が少なくなってしまったから、年齢を重ねた役者の仕事は減ってしまったと思います」
高橋さんは、作家でもあるが、19歳のとき、映画『旅の重さ』でいきなり主役デビューした女優でもある。NHK朝の連続テレビ小説『北の家族』のヒロイン役で、人気だったのを覚えている人も多いはずだ。
「ここに出てくる人たちは結婚もしないで夢中で役を演じてきた人たちです。役者って、役を演じているとき、我欲などなくなってしまうから、つい私生活の段取りを忘れがちなんですよね」
のっぴきならない役者たちの集まりなので、ホームは「のっぴき庵」と名付けられる。脇役俳優の失踪あり、元女優の結婚騒動あり、昔の恋の顛末の打ち明け話あり、人間臭いドラマが次々と起きる。小気味いいセリフでぐいぐい引き込まれる。