ある夫婦の起こした交通事故を中心に、当事者たちの事故以前の暮らしとその後。一見事故には無関係な人物の思いが、連作短編という形で綴られていく。
「なにかひとつの出来事において、直接に関わっている人にも、関わっていない人にも確実に影響はあるんですよね。日常生活のひだの中に潜むようにして。そこを描きたかった。直接その事件を見ていない、関わっていない人たちのことこそ描くべきことがあるんじゃないかなと思ったんです」
登場人物たちの造形描写、心の動きの機微、そして会話のなめらかさ。共通する要素は多いけれど、小説と映画では表現に違いはあるのだろうか。