のと、正義とか善を愛するのは、同じ愛という言葉に抽象化できるのか。質が違うからできないと思うんですよ」
抽象化された概念が至高のもので、肉体は低い存在だというプラトンの思想は、キリスト教と結びついて2000年にわたり西欧の価値観の根底になっている。
「プラトンの哲学はキリスト教の神学の柱になっています。神学は巨大な体系となって教会の権威を支えていますが、救世主とされるイエスの言行を聖書でたどると、権威の破壊者としての顔が随所に見受けられるんですね」
プラトンもイエスも誤解されている。誤解されたまま権威として定着していて、全体像や真の姿が見えにくくなっている。
「近代は西欧の文明が強かったので、西欧のものの見方や考え方が普遍的だと思われてきた。実際に西欧の論理や思考には優れた点が多いんですよ。それは認めるべきだけれど、ちょっと待って。他の考え方もある。西欧の言語体系では浮かび上がらないけど、こっちから指摘すれ