定価で買うから「節約」になる!?会計士が教える買い物術。 | 読む・聴く・観る・買う | クロワッサン オンライン
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定価で買うから「節約」になる!?
会計士が教える買い物術。

「家計は予算をオーバーしなければ、何に使ってもいいですよ」と会計士の林總さん。そのためには必要なのは「価値ある支出」が何なのかを知っておくこと。シンプルライフ研究家のマキさんが、買い物をするときに大事な心構えを聞きました。

「将来のことを思い描くと預金がどれほど大切かわかります」と林さん(写真左)。

「将来のことを思い描くと預金がどれほど大切かわかります」と林さん(写真左)。

 

家にあるたくさんの物は、
会社が抱えている在庫と同じ?

マキさん(以下、マキ) 一度いらないものを全部捨てたことで、次に買うものをよく吟味するようになりました。一生使えるくらい気に入ったものだけを買うので、今、無駄な買い物はほとんどしていないと思います。本当に価値のあるものって高価だったりもするのですけど、長い目でみれば節約なんじゃないかと。

林さん(以下、林) 安売りのお店やバーゲンセールでは、いらないものまで買いがちなので、 節約しているようで節約になっていない場合が多いはずです。マキさんはそれに気づいて、これは本当に価値を生み出す支出なんだろうか、と考える習慣がついているんですね。

マキ 10年くらい前は、私もよくセールの洋服や福袋を買いに走っていました(笑)。でも、そうやって買ったものは長く着ることがなくて、結局ほとんど残っていないんですよね。今は好きなブランドや買うアイテムもだいたい決まっていて、定価で買います。もはやファッションを楽しむというより、必要な服を補充する感覚ですね。ファストファッションで何着も買うことが なくなり、クローゼットはスカスカになりました。洗剤のような日用品も同じで、もう新しい商品を見るたびに飛びつくのはやめようと決めたんです。 買いに行って、いちいち選ぶのに迷ったりする時間ももったいないですし。

 マキさんの話で、思い当たることがあります。儲かっている会社というのは、工場の倉庫ががらんとしている んですよ。在庫はお金の仮の姿で、それがお金になって初めて利益が出る。 在庫がたくさんある状態は、お金になる可能性も、ならない可能性も両方あるということなので、会社はなるべく回転を早くしようとします。家庭でも、物が多い状態は、在庫をたくさん抱えているのと同じようなものなのかもしれませんね。

マキ わあ、企業の在庫と家の物が同じって考えるとおもしろいですね。ストックを持たないことは、うちでもかなり徹底しています。たとえば、洗面まわりのものを入れる箱が1つあって、そこに入る分だけを買うんです。トイレットペーパーも、ちょっと高くても 200メートル×6ロール入りと決めたら、安売りの ロール入りには見向 きもしません。初期投資は高いかもしれませんが、実はこちらのほうが安い計算になるんです。

 そうそう。お買い得だからといって大根を何本もまとめて買っても、使わずに捨ててしまうかもしれない。うちの妻は、使う分だけ、2分の1本の大根を買ってきます。ある日、毎朝食べるバナナを安く売っていたので私が買おうとすると、「まだ家にあるからダメ」だと。厳しいでしょう(笑)

価値ある支出ができていれば
贅沢をしても問題なし。

 実は、私の家計管理は妻が実践していた方法を元にしているんですよ。

マキ そうなんですか? 林先生ご自身で家庭のお金も管理しているのかと思ったので、意外です。

 結婚したとき、妻の収入は私の3 分の1ほどでしたが、預金は私よりもはるかにたくさんありました。私は会計の仕事をしていますが、家計については妻のほうが几帳面だとわかったので、今は全部まかせています。

マキ 夫婦で価値観をすり合わせるの も大事ですね。うちも、物を捨て始めたのは私ではなく夫のほうなんです。 初めは、なんでそんなことするの?って思いましたが、いざ物がなくなってみると、とくに不便もないし、むしろすっきりして暮らしやすくなりました。余計なものを買わなくなった分、旅行や子どもの教育、自分の体のメンテナンスなど、物以外にお金を使おうという意識が出てきましたね。

 私も同感です。プロポーズのとき にうっかり約束してしまったのもあって、年に1回の海外旅行を家族の楽しみにしてきました。買ったものは古くなるけれど、思い出は古くなりません。 その家族にとって何が大事かということをよく話し合って、そこにお金をかけることは無駄ではないのです。

マキ 子どもが成長すると、どうしても家族の時間が少なくなってしまうと思うので、みんなで旅行や外食を楽しめるのは今のうちかなと。そこにはお 金をかけています。

 それは、価値のある支出ができているということですよ。ちゃんと預金さえしていれば、それほど無理をして節約する必要はありません。家計の予算を立てて、その上限を超えない範囲 は、基本的に何に使ってもいいというのが私の考えです。

マキ お金を何に使うかは、どう生活するかということそのものですね。私は持たない生活が定着してきて、やっと次のステージ、家計管理に手をつけることができるようになりました。予算を立て、価値ある支出を大切にするという点がとても共感できたので、あらためて家計管理の仕組み作りに挑戦してみたいなと思います。

 

◎林 總さん 公認会計士、税理士/経営コンサルティングの他、大学院教員も務める。著書『正しい家計管理』『老後のお金』(共にWAVE出版)、『貯まる生活』(文藝春秋)。

『クロワッサン』918号(2016年2月10日号)より

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