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長寿時代だから必要です、親の資産管理術。

「親にお金のことを聞くなんて」という遠慮や、「私の親はしっかり者だから、任せておいて大丈夫」という信頼から、不可侵領域にしてしまいがちな親の資産。そこには落とし穴がいっぱい!

「自分の親に限って…。そういう気持ちは今すぐ捨てましょう」と、ファイナンシャルプランナーの北見久美子さん。

北見さんは働き盛りの時代に、気がつくと実家がリフォーム業者の餌食になっていた、という経験をもつといいます。

親の老後を快適にするのはもちろん、突然の入院などいざというときに慌てず対処するためにも、知っておきたい親の資産。もしもそのまま介護生活に突入することになれば、自分たちの生活も大きく変わり、継続的にお金が必要になってきます。

「40〜50代の今が、親子関係の見直し時期です」

良好な親子関係を保つためにも、今からでも遅くはありません。親の資産管理に取り掛かりましょう。

親の資産を守るための、親子関係の見直し。

1.親の資産に関心をもつ。

エンディングノートは、価格やスタイルなど、いろいろなタイプが。書店などで購入できる。

エンディングノートは、価格やスタイルなど、いろいろなタイプが。書店などで購入できる。

保険証書、通帳、ハンコ…、何がどこにあるのかさっぱりわからない。そもそも、自分の親がどんな資産を持っているのか把握していない。この言葉にドキッとした人は要注意。親が突然倒れたり会話ができない状態になったとき慌てる羽目になります。親の資産を管理するのは一生に一度のこと。でも誰もが通る道なので、備えは万全にしておきたいものです。一般的に、資産は「いざとなれば現金化できるもの」を指します。



親の資産の把握には、エンディングノートを利用するのもひとつ。

本来エンディングノートは、元気なうちに自分の最期や死後のことを残された家族に伝えるためのものですが、資産を種類別にリスト化するなど、記録するツールとして利用価値大。

「高齢になればなるほど、自分の死と向き合うのはエネルギーを使います。エンディングノートには、経歴や大事な人ヘメッセージを残す項目もあるので、昔の思い出話を聞きながら、いっしょにまとめていくのがよいですね」

 

2.親の資産問題は自分の問題と心得る。

「要介護の発生率は、年齢とともに急速に高まります」と北見さん。

いま日本では、75歳以上の後期高齢者のうち約3割が要介護状態。この数値は、年々上昇すると考えておくべきです。いざとなれば国の制度があるとはいえ、実際の介護内容は、親がどのくらいお金を持っているかによって違ってきます。親の者後は親の資産で賄えるのが一番ですが、資産の管理不足で詐欺などの被害に遭い全額失ってしまったら、子どもである自分たちで捻出することになります。

「介護が必要になったとき、親がどこでどのような暮らしを望んでいるのか。これも、親に聞いておくべきことのひとつです」

高齢者向けの住まいをタイプ別にまとめたものなど、情報を早めに掴んでおけば、予算的に選ぶことができない選択肢は最初からはずしておくことができます。特別養護老人ホームなど、安価で優良な施設は待機人数が多く、数年待ちなどということもあります。

「相続税も2015年から制度変更になりました。親が亡くなった後では何も対策はとれません」

 

3.親の認知症を認めて対策を取る。

日本では、将来的に4人に1人が認知症になると言われています。とはいえ、認知症は症状が出るときと出ないときのグレーゾーンの時期が長く、判断がむずかしいうえ家族の迷いもあります。ですが、認知症の人は状況を忘れてしまい証拠立証ができないので、悪質業者の格好の餌食。認知症の親を守る手段のひとつに、成年後見制度があります。

「家の処分でも、成年後見制度を使って本人の代理で行うと、居住用財産の扱いになり売却益にかかる税金が軽誠されますが、相続後に売却する場合、別居していれば軽減が受けられません。早めの対策を」

『クロワッサン』895号(2015年2月15日号)より

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