「最近の芸人は、芸っていっても、しゃべるだけの人がほとんどだね。それに、今の人の漫才を見てると、皆、台本どおりにしゃべるだけ。決まっていることに毎回、自分なりの枝葉をつけるのが本当の芸なのよ」と内海桂子師匠。
「枝葉」とは、自分が生きてきた人生、そしてその中で磨かれてきた感性のこと。そうだとすれば、桂子師匠の枝葉は、90余年の歳月をかけて、豊かに生い茂ってきたと言えるだろう。今なお暮らす浅草で育ち、家計を助けるために、小学校を3年で「中退」して奉公へ。家に戻った後も、働きながら三味線や踊りを学んだ。初舞台を踏んだのは、16歳の時だ。