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川島蓉子さんに聞く、
午前3時に起きる生活のメリット。

経営トップも、クリエイターも起きている。午前3時は私には一番自由で、便利な時間。

経営トップも、クリエイターも起きている。午前3時は私には一番自由で、便利な時間。

世の中が寝静まっている時間を使い、30冊の本を書き上げた川島蓉子さん。午前3時に起きる生活のメリットと、続けるコツを聞きました。

主婦、母、会社員、著述家の一人4役(!)を、午前3時に起きる超朝型生活で実践してきた川島蓉子さん。1991年に長女を出産、子育てをしながら働くうちに、必要に迫られて今の生活スタイルになってきたという。

「定時に会社から帰ってきても家事や育児をするともうクタクタ。子どもを寝かしつけながら一緒に寝ちゃうことも多かったんです。そうすると目が覚めるのも早くなりますから、最初は早起きして朝の6時に出勤していました。家を出てしまえば、子どもが泣こうが夫にまかせるしかないですし(笑)」

それが朝型の仕事スタイルの始まり。さらに2人目を出産、子どもたちが成長する過程で試行錯誤を重ねながら、午前3時ごろに起きて6時まで原稿を書くという現在のスタイルが定着した。

「子どもが物心ついたころから、一緒に朝の時間を過ごしたほうがいいと思って、早朝出勤はやめました。そのかわり自宅でできる仕事をしよう、と。今はもう午前3時になると自然に目が覚めます。体内時計がそうなっているとしか言いようがないくらい」
「起きたとたんにシャキッとなる」という川島さんですが、口に何か入れないとさすがに頭が働きません。

「朝起きたら食べないと元気が出ないんです」。コーヒーやカフェオレを飲みながら、トーストを。

「朝起きたら食べないと元気が出ないんです」。コーヒーやカフェオレを飲みながら、トーストを。


毎朝のルーティンは、まずコーヒーを淹れて、好きな『TORAYA CAFÉ』のあんペーストをトーストに塗って食べながらメールチェック。それから進行中の原稿の執筆にとりかかります。
「私は少しずつ書いて積み上げていくマラソンランナー的な書き手なので、日に400字詰め原稿用紙4枚を必ず書くと決めて守っています。一年365日同じ生活で、土曜日も日曜日も元日の朝も原稿を書いていますね」

川島さんにとって本を執筆することはライフワーク。長年マーケティングマネージャーとしてファッションやデザインの視点から時代の先端を見つめ、さまざまな企業のブランドづくりを推進してきただけに、書きたいテーマはいっぱいあります。

「最初に本を出したのが36歳のときで、これまでに30冊余りの本を書いてきましたが、すべて朝の時間に書き上げたものです」

ものを書くには午前3時起きはベスト。静かだし電話もかかってこないし、雑事に煩わされることなく集中できる。一日の中で一番自由になれる時間、と川島さんはいいます。その原稿書きも朝の6時には打ち切り、子どもたちの食事や弁当を作り、そのほかの家事をすませて、8時半に家を出る生活が続いていましたが、今では子どもも成長し、朝の時間を自分のためだけに使えるようになりました。

『ビームス戦略』など、川島さんがこれまで上梓した30冊余りの本はすべて朝の時間に書かれた。

『ビームス戦略』など、川島さんがこれまで上梓した30冊余りの本はすべて朝の時間に書かれた。


「上は留学中で下の子も大学生になり朝食は自分で作って食べていますから、手がかかりません。ちょっと寂しいですが(笑)。今、朝に家事をするのは頭を切り替えるためなんです。2、3時間原稿を書いていると電池切れになってしまうので」
そんな川島さんですが最近、超早起き生活の新たなメリットを意識するようになったそう。

「未明から夜が明けるまでが私の時間。朝の気配の中に季節の変化を感じながら仕事できるのは喜びです」

「未明から夜が明けるまでが私の時間。朝の気配の中に季節の変化を感じながら仕事できるのは喜びです」

「この仕事を始めて30年、経営トップの方々とのやりとりも多くなってきましたが、みなさん超朝型なんです。朝4時半にメールしても即返事が来たり、7時ぐらいに電話がかかってきて、すぐ来てほしいって言われたり。どこの社長さんもそんな感じですから、朝型でよかったとつくづく思います」

一方、深夜族が多いクリエイターたちとのつきあいも多い。


「午前3時過ぎにメールするとまだ起きていて、返事が来たりするので面白いですよね。彼らには『まだ起きてる』って、夜型人間だと誤解されることが多いんです。だから、『おはようございます』とメールに書くと驚かれます。午前3時は夜型と朝型が出会う時間でもあるんです」
自宅で仕事場にしているのは3畳ほどのコンパクトな部屋。起き抜けは外が真っ暗なので、ブラインドも下ろしたままなのですが、
「だんだん夜が明けてくると鳥がさえずりだして、四季それぞれ明け方の感じが違うんです。朝はやっぱり清々しいし、世の中が動きだす感じっていうのが伝わってきて、自分にエネルギーを与えてくれる気がします」

 

◎川島蓉子さん・ifs未来研究所所長。伊藤忠ファッションシステムのマーケティングマネージャーから、’13年より現職。『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)など著書多数。

『クロワッサン』899号(2015年4月25日号)より

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