からだ

私がヨガに夢中になる理由vol.1内澤旬子さん「体の変化が
自信につながります」

体の不調から「とにかく眠りたい」と飛び込んだヨガの世界。それが小豆島移住の活力源になり、インストラクターを志すほどになった、内澤旬子さんにヨガの魅力を伺いました。

 
世界各国で精力的に取材を行ってきたルポライターの内澤旬子さんが、乳がんに罹患したのは10年ほど前。手術後のホルモン療法の副作用で、深刻な不調に陥り、肉体的に追い詰められた。体を動かしてぐったり疲れたら、きっと眠れる、そんな思いで飛び込んだのが、近所のヨガ教室だった。

「公民館でやっている、お年寄りも参加するような教室でした。実は、母が太極拳を教えているので、すすめられてやってみたことはあるのですが、私には向かなくて。アトピーなので水泳は塩素が怖い。消去法で行きついたのがヨガだったのです」

公民館でのレッスンは、基本的なヨガのポーズをゆっくりと行うハタヨガだった。ジャージにTシャツという、いかにも気軽な姿で参加した内澤さんは、翌日、起き上がれないほどのだるさに見舞われ、「これだ!」と思ったという。否応なく眠りの淵へと引き込んでくれるその疲れこそ、求めていたものだったからだ。

ルポライターからヨガインストラクターに。
現在はヨガインストラクターを目指しているというルポライターの内澤旬子さん。


「ヨガは部屋の中でもできます。広いスペースは必要なく、マット1枚あればできる点も、魅力的でした」

ヨガを続けることにした内澤さんが選んだのは、都内各所に支店があり、どこの拠点でも予約を入れられる大きなヨガスタジオ。「やりたいときに、行きたいところでやれる」という気楽さが、結果的には継続を後押しし、どんどんのめり込むことに。

「最初はハタヨガから入り、ちょっと物足りなくなってきてパワーヨガ、ヴィンヤサをやり、いまはアシュタンガが中心です。アシュタンガはポーズの流れが厳密に決まっていて、どこでレッスンを受けても同じなので、海外出張で体をほぐしたい、時差ボケを抜きたいというときにも、便利です」

「アシュタンガは覚えると、言語に自信がなくてもどこでも臆せず参加できます」
「アシュタンガは覚えると、言語に自信がなくてもどこでも臆せず参加できます」と海外でもヨガを行う。

寝つきがよくなっただけでなく、ヨガのおかげでスタイルが変化して体の線がきれいになり、体温が上がって前ほど寒がりではなくなった。自信がつき、クラシックバレエや乗馬にも挑戦できた。精神的には、「くよくよ考えるのはとりあえず脇に置いておこう」と切り替えるすべが身についてきた。

「そういうスピリチュアルな面には懐疑的だったのですが、先生の言うとおりにやってみたら意外と気持ちがさっぱりし、『あら?』という感じです」

肉体的、精神的なそれらの変化は、首都圏から香川県の小豆島へ移住する際にも、活力源の一つになった。現在、内澤さんは「小豆島でも都会に近いエリアではなく、限界集落に近いところ」でヤギを飼い、搾った乳を飲み、猟をして仕留めたイノシシの肉を食べ、旺盛に執筆しながら暮らしている。

「島に住んだ当初、田舎暮らしは体力がつくからヨガはしなくてもいいかと休んだら、腰痛が勃発。『ダメだ、もう1回ちゃんとヨガをやらなきゃ』と、また始めたら、解消されました」

以降、高松と島内のクラスを受講しながら、出張先のスタジオにもビジターで参加。週2〜3回のペースで続けている。

今後は「インストラクター講座を受けて、他の人に教えられるようになってみたいですね」。内澤さんのヨガの日々は、まだまだ発展していきそうだ。

 

逆立ちのポーズ

初めは壁を頼って練習していた三点倒立も、いまはこのとおり。「人間、やればできるものですよ」と内澤さん。
初めは壁を頼って練習していた三点倒立も、いまはこのとおり。「人間、やればできるものですよ」と内澤さん。

片足上げのポーズ

犬のポーズと呼ばれる下向きのくの字の姿勢から、片足を高く上げる。骨盤や背骨の歪み、肩こりにいいという。
犬のポーズと呼ばれる下向きのくの字の姿勢から、片足を高く上げる。骨盤や背骨の歪み、肩こりにいいという。


 

鳩のポーズ

ボディラインの引き締めにもなる難易度の高いポーズ。美しくきめつつ「もっと柔軟に上体を反らせたいですね」。
ボディラインの引き締めにもなる難易度の高いポーズ。美しくきめつつ「もっと柔軟に上体を反らせたいですね」。

アーチのポーズ

体を後屈させる、いわゆるブリッジポーズ。体の歪みを正し自律神経を整える。腰と手首に負担をかけないよう注意。
体を後屈させる、いわゆるブリッジポーズ。体の歪みを正し自律神経を整える。腰と手首に負担をかけないよう注意。


 

◎内澤旬子さん  ルポライター、イラストレーター/乳がん罹患後なぜか心身が健やかになってゆく変化を綴った『身体のいいなり』(朝日新聞出版)で講談社エッセイ賞受賞。ほか、『捨てる女』(本の雑誌社)など著書多数。
『クロワッサン』925号(2016年5月25日号)より

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