私がヨガに夢中になる理由vol.1内澤旬子さん「体の変化が
自信につながります」
体の不調から「とにかく眠りたい」と飛び込んだヨガの世界。それが小豆島移住の活力源になり、インストラクターを志すほどになった、内澤旬子さんにヨガの魅力を伺いました。
「公民館でやっている、お年寄りも参加するような教室でした。実は、母が太極拳を教えているので、すすめられてやってみたことはあるのですが、私には向かなくて。アトピーなので水泳は塩素が怖い。消去法で行きついたのがヨガだったのです」
公民館でのレッスンは、基本的なヨガのポーズをゆっくりと行うハタヨガだった。ジャージにTシャツという、いかにも気軽な姿で参加した内澤さんは、翌日、起き上がれないほどのだるさに見舞われ、「これだ!」と思ったという。否応なく眠りの淵へと引き込んでくれるその疲れこそ、求めていたものだったからだ。
「ヨガは部屋の中でもできます。広いスペースは必要なく、マット1枚あればできる点も、魅力的でした」
ヨガを続けることにした内澤さんが選んだのは、都内各所に支店があり、どこの拠点でも予約を入れられる大きなヨガスタジオ。「やりたいときに、行きたいところでやれる」という気楽さが、結果的には継続を後押しし、どんどんのめり込むことに。
「最初はハタヨガから入り、ちょっと物足りなくなってきてパワーヨガ、ヴィンヤサをやり、いまはアシュタンガが中心です。アシュタンガはポーズの流れが厳密に決まっていて、どこでレッスンを受けても同じなので、海外出張で体をほぐしたい、時差ボケを抜きたいというときにも、便利です」
寝つきがよくなっただけでなく、ヨガのおかげでスタイルが変化して体の線がきれいになり、体温が上がって前ほど寒がりではなくなった。自信がつき、クラシックバレエや乗馬にも挑戦できた。精神的には、「くよくよ考えるのはとりあえず脇に置いておこう」と切り替えるすべが身についてきた。
「そういうスピリチュアルな面には懐疑的だったのですが、先生の言うとおりにやってみたら意外と気持ちがさっぱりし、『あら?』という感じです」
肉体的、精神的なそれらの変化は、首都圏から香川県の小豆島へ移住する際にも、活力源の一つになった。現在、内澤さんは「小豆島でも都会に近いエリアではなく、限界集落に近いところ」でヤギを飼い、搾った乳を飲み、猟をして仕留めたイノシシの肉を食べ、旺盛に執筆しながら暮らしている。
「島に住んだ当初、田舎暮らしは体力がつくからヨガはしなくてもいいかと休んだら、腰痛が勃発。『ダメだ、もう1回ちゃんとヨガをやらなきゃ』と、また始めたら、解消されました」
以降、高松と島内のクラスを受講しながら、出張先のスタジオにもビジターで参加。週2〜3回のペースで続けている。
今後は「インストラクター講座を受けて、他の人に教えられるようになってみたいですね」。内澤さんのヨガの日々は、まだまだ発展していきそうだ。
逆立ちのポーズ
片足上げのポーズ
鳩のポーズ
アーチのポーズ
◎内澤旬子さん ルポライター、イラストレーター/乳がん罹患後なぜか心身が健やかになってゆく変化を綴った『身体のいいなり』(朝日新聞出版)で講談社エッセイ賞受賞。ほか、『捨てる女』(本の雑誌社)など著書多数。
『クロワッサン』925号(2016年5月25日号)より
この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう
※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。
人気記事ランキング
- 最新
- 週間
- 月間