「児童書も、大人にファンが多いんです。動物シリーズは、オランダでは哲学的と言われていますが、私は禅的なものを感じています。たとえば、私が好きな、なんでも掘ってしまうキクイムシの話。ハリネズミの家を掘りつくしたら、歴史も未来も時間も掘ってしまい、最後には無も掘りたいという」
長山さきさんは、テレヘンさんの作品を読むとすぐに訳してしまうというほどの理解者。児童文学のようなやさしい言葉を使いながら、シュールな世界を描いていく。
「テレヘンさんの物語に惹かれるのは、どこか社会に違和感を抱えている人だと思うんです。私自身、うまく人となじめなかったことがあって。変われても楽しいけれど、変わらなくても『ハリネズミ、君のままでいいんだよ』と、自分自身を受け入れるのを許されるようなメッセージがすごくいい」